司令室へ向かう5分前。
はホットサンドを食べ終わると、目の前の大量の料理を平らげていく様を呆然と見ていた。


「アレン、お腹壊さないでね…」
「らいりょううれふ(大丈夫です)」
「そう…」

積み上げられた皿が高くなっていく。
と同時に、自分とあまり身長の変わらないアレンが黙々とその料理を口に入れる。
いったい彼の細い体の何処にあれだけの料理は消えていくのだろう。
コーヒーを啜ったは手を止めないアレンをじっと観察していた。


「ところで
「……ん、なぁに」

最後のデザートに突入したアレンはみたらし団子を片手にを見やった。
コーヒーを飲む手を止めて、はアレンに目を合わせる。


「以前、僕と会ったこと…ありますか?」

真面目な表情でアレンは言った。
はしばらく瞬きをして時間を忘れていたが、不意にクス、と破顔する。
アレンは今の何処にそんな要素があっただろうか?と困惑した様子でを見やった。


「ご、ごめん…新手なナンパかと思って」
「ち、違いますよ!」

アレンは慌てて弁解を述べる。
そんな様子が更に可笑しくて、は一頻り笑った。


「まぁ…会った事あるって言えばあるかな。どうして?」
「いや………なんとなく、なんですけど」

記憶の奥深くにある懐かしい温かさ。
それに、は何となく似ている気がした。
ただ確証も何もなく、本当に感覚だけでそう思っただけなので、理由を問われると困る。


「すみません、急に…」
「いえいえ。あ、そろそろ時間じゃない?行こうか」

そうアレンに声をかけると、アレンの傍らにあったはずのみたらし団子は最後の1本となっていた。
いつの間に…と思っている間にも、最後の1本は瞬く間に消える。


「お待たせしました。行きましょうか」

豪勢な朝食を食べ終えたアレンは、とても爽やかに見えた。





土翁と空夜のアリア








司令室に到着すると、「ぐーーー」と豪快に眠るコムイと、そんなコムイの頭を殴っているリーバー。
その近くには神田とリナリーが立っており、は「またなの?」とリナリーに問う。


「リナリーちゃんが結婚するってさー」
「リナリィィー!!!お兄ちゃんに黙って結婚だなんてヒドイよぉー!!!」

リーバーが例の呪文のような言葉を唱えると、瞬く間にコムイは跳ね起きる。
そして無意味に涙を垂らしながら毎度おなじみの言葉を口にした。
呆れ顔のアレン、神田、リナリー、に、リーバーが「悪いな」と代わりに謝罪を述べた。









「いやーごめんね。徹夜明けだったもんでね」

寝こけていたのは至極当然だった、と言いたげな言い訳に、リーバーが「オレもっスけど!」と突っ込みを入れる。
しかしコムイはそれを他所に、先程とは打って変わってテキパキと任務説明の準備を始めた。
同じく資料を手渡すリナリーと、準備を進めるリーバーの順応力は今までの経験による賜物だ。
神田とアレンの間に座ったは、パラパラと資料を捲る。


「さて、時間が無いので粗筋を聞いたらすぐ出発して。詳しい内容は今渡す資料を行きながら読むように」

そう言い終わると同時に、アレンと神田の視線がの頭上で交錯した。
気配を感じたは、2人を交互に見やる。


「3人で、行ってもらうよ」

コムイの言葉に、アレンと神田はあからさまに嫌そうな顔をした。
「ゲ」という声が聞こえたのは気のせいではないかもしれない。


「え、何ナニ?もう仲悪くなったのキミら?」

茶化すように言うコムイに、は静かに溜め息を零した。
別段このメンバーで行く事には問題はないが、なんだか重苦しい空気を纏ったままの任務になりそうだ。


「オイ、どうせならコイツと俺で行けばいいじゃねぇか」
「ダメダメ、アレンくんは初任務だから誰かしら一緒じゃないと」

コイツと神田がを指差した。
神田とも任務を何度か共にした事はあるが、神田は早急な任務遂行型なので切り上げも早い。
ある意味やり易いタイプでもある。
しかしコムイはアレンが初任務である為に何かあった場合の事を考え、神田とのコンビを許可しなかった。


「だったらコイツとモヤシで行かせろよ」
「それも許可できない。それだとちゃんはどうするの」

モヤシという単語にアレンがむかっと神田を睨み付けたが、神田はアレンに見向きもせずにコムイを説得している。
しかし次なる案もコムイは許可しなかった。
その言葉に、神田は舌打ちをし、は顔を俯ける。
アレンは1人首をかしげたが、コムイの説明が始まってしまったので理由は分からなかった。


「南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない。早急に敵を破壊し、イノセンスを保護してくれ」









黒の教団が保有する地下水路。
そこに神田とアレンとは居た。
先程まで私服であったアレンは、コムイに渡された団服に袖を通している所であった。


「ちょっと大きいね、アレン」
「これ着なきゃいけないんですか?」
「エクソシストの証みたいなものでね。
戦闘用に造ってあるからかなり丈夫だよ。あと、左手の防具はボク的に改良してみました」

がアレンの襟を直してやりながら言う。
アレンは「有難う」とお礼を述べてから、袖の長さを確認してコムイに尋ねた。
コムイが言うには防護服でもあり、またエクソシストである事を証明する為のものらしい。
持ち上げたままの袖がもぞもぞと動きだし、アレンは袖を見た。
そこから飛び出してきたのは、教団に来てから一度も姿を見なくなっていたティムキャンピーであった。


「ティムキャンピー!どこ行ってたんだお前」
「ティムキャンピーには映像記録機能があってね、キミの過去を少し見せてもらったよ」

船に乗り込みながらコムイがティムの行方を教えてくれた。
「だから徹夜しちゃったんだけど」という呟きと同時に、船がガコンという音を立てて岸辺から離れる。
アレンはコムイを振り返り、もそちらへ顔を向けた。


「行ってらっしゃい」

コムイが親指を立てて見送りの言葉を述べる。
神田は振り返っただけだったが、とアレンは「行ってきます」と返事を返した。



  



んんー?なんか文章がおかしい・・・。
まだまだ序盤ですからねこれからの事はなんとも言えませんが、頑張って原作に忠実に絡めて行きたいと思います。
今回の任務の同行者は神田とアレンとティムとリデル。

2008/11/07