「あー…オレまで何してるんさ、」

がバスルームへ逃げた後、ラビはぽつりと呟いた。
再びタオルを頭まで被って自分のベッドに倒れる。


「感触が離れねー…」

触れてしまった手を天井に翳した後、その手で視界を覆った。





不思議の街のアリス








シャワーを浴びれば吹っ切れるかもしれないと、は頭からお湯を被った。
少し冷えた体に湯は丁度良かったようで、スーッと疲れのようなものが抜けていく。
バスタブにお湯を張るとは肩までしっかりと浸かった。
もわもわとした湯船を見つめて自分の顔を映す。
揺れる水面に映る顔は歪んで不細工に見えた。


「ラビとユウのアホ!」

ばしゃ、と意味もなく水面を叩きつけると、は湯船に沈んだ。









恐る恐る扉を開けると、部屋の中は真っ暗だった。
あれ?と思いながらも自分のベッドヘッドの側にあった電気をつける。
すると扉に近いほうのベッドでラビがこちらに背を向けたまま横になっているのが見えた。
時計を確認してみれば確かにもうそんな時間だ。
は静かにベッドへ腰を掛けるとわしわしと頭を拭きながらもう一方のベッドを見る。


「………」

そこは神田の服が畳んで置いてあるだけで、当の本人の姿はそこにはなかった。
はホッとしたような、けれど何処か落ち着かないような。
そんな吐息を零すと明かりを消して布団に潜り込む。
目を閉じて朝になった時、そこに神田がいる事を祈りながら眠りについた。









(お姉ちゃん)

その声はとても懐かしいものだった。


(あのねお姉ちゃん!私好きな人が出来たの!)

その声は私がとても大切にしていたもので。
その声は私がとても好きだったもの。


(…どうして?お姉ちゃん…)

けれど私は裏切ってしまった。
けれど私は、それでも彼を愛してしまった。


(嘘つき…!嘘つき!)

彼女は傷ついた。
彼女は悲愴にくれた。
彼女は、変わってしまった。


(殺してやる!)

彼女は、その日―――死んだ



!」
「っは、」
「おはようさ?よく眠れた?」
「な、なっ、ラビの馬鹿ーー!!」

バチーン、と良い音が部屋に響いた。









「ひっでぇなー。オレはただ起こしただけだったのに」
「ご、ごめん」
「久々のクリーンヒットだったさ」
「ごめん…」

はベッドの上で正座をしていた。
向かい合わせにはラビが赤くなった頬を押さえながらベッドに腰掛けている。

何故こんな事態になっているのか。
流れとしては、を起こそうとしたラビがを覗き込んだ。
そして目が覚めたはまたしても襲われているものだと勘違いしてラビを平手で仕留めた。
ちなみにまたしても、というのは教団内では時々見られるラビがの部屋に侵入した時の事を指している。
けれど今回は教団内でもなければ襲いかかってきた訳でもない。
今回はが悪いのだ。


がちゅーしてくれたら治るかもしれな
――
「そんな訳あるか」

プイと顔を背けるとラビは笑った。
昨日の今日だったので少し気にしていたが、いつもと変わりない様子で安心したというのがの本音だ。
ちらりとラビの顔を窺うと目が合った。
「ん?」と首を傾げられて、「何でもない!」とは立ち上がる。


「着替えてくるね。ラビの着替えはその後でやってあげる」
「おう!」
「あ、ラビ」

着替えを持ってバスルームに入ろうとしたはノブに手を掛けて振り返る。
きょとんとしたラビは「どうした?」と瞬きをする。


「神田は…」
「ユウならさっき帰ってきたさー。で、メシ頼みに行ってる」
「そう、なら良かった」

はホッとした。
けれどホッとしたのも束の間、は再び「ん?」と声を漏らした。


「ね、ねぇラビ…」
「なんさ?」
「神田って服、着替えてないよね…?」
「ああ、確か昨日のズボンにシャツ着てー…って、」

どうやらラビもの疑問が分かったらしい。
神田は昨日の夜出て行って、とりあえず部屋には帰ってきたが着替えてはいない。
つまり、男同然の格好をして出歩いているという事だ。
とラビが顔を見合わせた直後、「キャアア!」という悲鳴が何処からともなく聞こえる。

はラビに部屋を出ないように釘を刺して、慌てて部屋を飛び出した。



  



私もラビに迫られt(ry。
すみません。世の乙女の(というか私の)願望を書き綴ってみたり(苦笑)
そろそろちゃんと物語的にも進んで行きます。

2009/02/27