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「………………」 アレンは悩んでいた。 とりあえず服を着替えて外へ出られる準備は整えている。 問題は、今アレンの目の前に横たわっていた。 |
| 過去の記憶と隠された謎 |
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「あの〜……」 「………」 控えめに声を掛けてみる。 にはまったく変化は見られない。 「」 「………」 もう一度声を掛けてみた。 やはりに変化はない。 アレンがどうしようかと思った時、もぞもぞとの布団が動いた。 起きたのかと思いきや、そこから飛び出してきたのはティムキャンピーの姿。 「お、お前!何してんだよぉ!!」 アレンは思わず出てきたティムを両手でがっしりと掴んでしまった。 ティムは苦しそうにアレンの手の中でもがいている。 「の布団に入るなんて!失礼だろ!?」 怒鳴ってみるがティムには果たして通じているのだろうか。 そうしている間にも、もう一つの布団から飛び出てきた物体が。 「………リデル…君もなのか…」 アレンの手の力が緩んだのをいい事にティムはスポンとそこから抜けて天井に避難する。 同じくの布団から出てきたリデルも、窓側に飛んで出窓にとまった。 「お前達が起きて来てもしょうがないんだよなー…。問題はな訳だし」 そうなのだ。アレンにはまだ重大な任務が残っている。 この寝起きが悪いを如何にして起こすか。 けれど以前の部屋に行った時、はアレンの声だけで簡単に起きたのだ。 ちゃんと起こせば、も起きてくれるのではないかとアレンはもう一度に向かい合う。 「、朝ですよ?起きましょう?」 「………」 「…起きて下さいよ〜。朝ごはんがなくなっちゃいますよ?」 「………」 「あ、あんな所にみたらし団子が!」 「………」 あの手この手を尽くして話しかけてみたが、やはりは起きない。 そもそも、みたらし団子はアレンの好物であってを起こすことには何ら関係していなかった。 それでも起きないに、アレンはぽす、とのベッドに腰掛けてみる。 もう一度意を決して声をかける。 「、起きて下さい」 正攻法に肩を揺する事にした。 それでも向こう側を向いて眠るは動かない。 もう一度肩を揺すってみると、に少し変化が見られた。 「…?」 「……ん」 が少し動いた。 けれどそれは寝返りを打っただけで目が覚めた訳ではないようだ。 上を向いたは、やはり目を閉じたまま眠っている。 「、!」 アレンはそれでもめげずに声を掛けて肩を揺する。 けれどそれ以後は深く寝息を零すばかりで、結局振り出しに戻ってしまう。 本気でどうしようか考えながら、アレンは横目での寝顔を見やる。 余程疲れているのだろうか。それともただ単にイノセンスのせいなのか。 今度は黙ってを眺めていたアレンだったが、不意に口が動いた。 「綺麗、だな…」 ぽつりと言葉が漏れ、直後アレンは「ん?」と固まった。 今自分は何を口走っただろうか。 思わずその言葉を思い出して一人赤面をしてしまう。 「わわ、今のはちがっ」 一人でわたわたしてみたが、特に誰かが見ていた訳ではない。 アレンは今の状況に気がついて大きく息を吐き出してみる。 落ち着けと自分に言い聞かせながら、ようやく現実に戻って来た。 「もー…本気で起きてくれないと…」 アレンのその行動は何となくだったのだろう。 ベッドに腰掛けたまま、の向こう側に腕を回してを見下ろす形になる。 傍から見れば押し倒しているような格好だ。 「このまま…」 このまま――― その先に何を繋げるつもりだったのだろうか。 アレンはその体勢のまま黙った。 色の白いはまるで永遠の眠りについてしまったようで。 「起きてよ、」 アレンがそう小さく呟いた直後、の目がゆっくりと開かれる。 虚ろに揺れる瞳に映った自分を見て、アレンは目を見開いた。 1回、2回と瞬きをした後、の口が徐に開かれる。 「アレン…?」 その言葉に、アレンは慌てての上から飛び退いた。 ・ ・ ・ 「ご、ごめんなさいっ!!!!!」 「‥‥へ?」 着替えを済ませて廊下で待つアレンの前へ出た瞬間、アレンはに向かって思いっきり頭を下げた。 体は直角よりも更に深く曲げられている。 が思わず後ろに身を引いてしまったほどだ。 「ど、どうしたの‥‥‥アレン‥」 「お、覚えて‥‥ないんですか‥‥さっきの」 「さっき‥?」 首をかしげるを見て、アレンはあれ?という顔をする。 もしかしなくても、の思考回路はあの時点ではまだ目覚めていなかったのではないだろうか。 「さっき…何かしたの?アレン?」 「い、いえっ!別に!!」 覚えていないのなら無理に思い出して欲しくない。 むしろできれば記憶から抹消してしまいたいと思っていたところだ。 アレンがブンブンと首を振ると、は「まぁいっか」とアレンの先を歩き始める。 「……キスしそうになった…なんて言えないよ…」 アレンの呟きは、幸いにもには届かなかった。 ← † → ずびばぜん…お、お叱りは受付まーす…。アレンじゃない!アレンじゃないよーー! つーかこんなんでいいのか、進行。 2008/11/20 |