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【ところで…】 「うん」 ヘブラスカに話しかけられ、は一歩前に出た。 それを不思議そうに見ていたアレンは、コムイに肩を引かれて後ろへ下がる。 「コムイさん…」 「ここからはくんの番だ。アレンくんもくんに聞いたかもしれないけど、くんには定期的なシンクロ率診断が必要なんだよ」 そういえば、とアレンは黙っての背中を見つめる。 は未だシンクロ率がとても低く、それも安定していない。 極めて危険な状態にあるため、小まめにシンクロ率を測定し自分の限界を知る必要がある。 酷なようだが、命に関わる事なのだ。 【準備は…いいか…?】 「大丈夫」 は頷いて静かにイノセンスを発動させた。 手に書を持つと、そっと目を閉じる。 ヘブラスカに体を預ける事は怖くない。 むしろそれはとても温かくて、そしてヘブラスカに触れられる唯一の瞬間なのだ。 ヘブラスカがゆっくりとに手を伸ばし宙へ持ち上げる。 額をそっと触れ合わせると、ヘブラスカは測定を始めた。 【4%…9%……18…30……42…57……61………67%!】 「っは…」 ヘブラスカがスッと離れると、から詰めていた吐息が漏れる。 集中していたためだろう。 もう一度深く息を吐き出すと、ヘブラスカがゆっくりとを床に下ろす。 【の…現在のシンクロ…率は……67%だ…】 「ちょ、っと、上がったかな」 は苦笑する。 明るく振舞っているつもりなのだろうが、その表情はどちらかと言えば苦痛に似ている。 「くん」 「コムイさん…」 「任務お疲れ様。シンクロ率が上がったから武器も増えているかもしれない。明日もう一度調べて新しいカテゴリ 「……うん」 ポンとコムイの手がの肩に乗る。 コムイは明るく言ってみたが、の表情はあまり芳しくない。 【気に病むことはない…。お前とイノセンスの…シンクロ率は…確実に上がってきている…】 ありがと、と呟いたの横顔は、なんだか泣いているように見えた。 |
| 過去の記憶と隠された謎 |
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「いくら部屋が壊れたからって…」 「……、僕、外で寝ましょうか…?」 とアレンはとある部屋の中で立ち尽くしていた。 もう何もする気力さえ起きない。 コムリン騒動でアレンとの部屋は見事壊された。 修復に暫く掛かるとの事で、仮の部屋が宛がわれたのだ。 ところがコムイが教えてくれた部屋は1部屋。 おかしいなとは思っていたが、まさか本当に1部屋しか用意していないとは。 仮にもとアレンは年頃の男女な訳で。 いくらベッドが別々だろうが、いくら部屋が広かろうが。 生活するには流石に支障が出てくる。 「任務帰りなんだからちゃんとベッドで寝た方がいいよ。外は却下」 「けど…ふ、2人一緒っていうのは…ちょっと…」 一つ屋根の下ならぬ、2人して1部屋。 は部屋を意味もなく睨みつけていたが、盛大な溜め息を零してツカツカと中へ入る。 「…?」 「もういいや。疲れたし、兎に角寝れればいいのよ。屋根とベッドがあるだけマシじゃない」 「え、えぇ!?、寝る気…ですか?」 「当たり前よ。アレンが一晩気絶してる間も仮眠は取ったけどほぼ貫徹に近かったし」 そういえばそうだった、とアレンは申し訳なくなる。 任務帰りのを働かせて自分は事故とはいえ気絶して一晩ちゃんと眠っている。 はくあ、と欠伸を零すと、無言で 「ちょ、ちょっと!!!」 「何?」 先ほどからの目が据わっている。 眠れないし部屋はないし、帰ってきてからも無駄な体力を使わされた。 苦悩の連続でも限界なのだろう。 むしろ今まで倒れずに意識を保っていられたことの方が凄いほどだ。 アレンの制止も虚しくは団服を脱ぐと、それをソファに放り投げていそいそとベッドに潜り込んでしまう。 「あの…」 「アレンも適当に休んだほうが良いよ。お疲れ。おやすみ」 「………」 短い会話だった。 アレンが全てを言い終わらないうちに、からスースーと寝息が聞こえてくる。 余程眠かったに違いない。 アレンははぁと溜め息を零し、の側に寄る。 本当に眠ってしまっているのを確認して、そっと肩まで布団を掛けてやった。 「も、お疲れ様です。それから…おやすみなさい」 聞こえてはいないと思われるが、アレンはの髪を一撫でして呟く。 そして本人の了承も得たので、の隣のベッドに潜り込む事にした。 ◇ 「おーい、、アレン!」 ドンドンと、扉を叩く音がする。 次いで聞こえてきたのはリーバーの声。 アレンはもぞっと動いて起き上がる。 「ふぁっ……はい、どうしたんですか、リーバーさん」 一つ欠伸をこぼしてアレンは布団から這い出た。 そのまま扉へと向かい少し開けて顔を出す。 「おはようアレン。昨日は良く眠れたか?」 「あ、はい。お陰様で」 「ところではいるか?」 「えっと……」 アレンは首を捻って後ろを見やる。 薄暗い室内で目を凝らしてみると、自分が寝ていたベッドの向こう側が膨れているのが見えた。 リーバーがあれだけ扉を叩いていたというのに、はまったく起きる気配もないようだ。 「はい。いますよ」 「まぁあれだけで起きてくれたら苦労しないからな…」 何となくアレンの苦笑に近しい笑みの理由が分かったのだろう。 リーバーは「毎度の事だ」と零すと、起こすようアレンに告げる。 「任務、ですか?」 「いや、違う。室長が呼んできて欲しいとさ」 はかなり疲弊している。 出来ればあまり起こしたくないし、もし任務だったら自分が代わりに行ってもと思った。 けれどどうやら任務ではないらしい。 アレンの質問に、リーバーは何処となく乾いた笑みを漏らす。 本当は自分が起こしに行くと聞かず、科学班総出で先ほど足止めをしてきたなど口が裂けても言えない。 「おそらく新しいカテゴリの検査だろ。それと前々からが頼んでた資料を貰うくらいだと思うが」 「資料…?」 「気になるならお前も来い。むしろが途中で寝ちまうと困るから司令室まで連れてきてくれ。朝食は向こうで用意しておくから。頼んだぞ」 「え、ちょ、リーバーさん!?」 じゃ、と扉を閉めてしまったリーバーに、アレンは盛大な溜め息を零した。 ← † → まさかの同居(違う) と言う訳で同じ部屋にしてみました。 ま、殆ど任務で部屋を空ける事が多いだろうからって事でこんな事態に。 そろそろヒロインのイノセンスについての説明が始まります〜。 2008/11/20 |