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ゴォっという凄まじい衝突が起こった。 アレンの放った攻撃と、アクマの放った攻撃がぶつかり合う。 (私は…醜い人間だよ) (ララを他人に壊されたくなかった) (ララ…私が死ぬ時、私の手でお前を壊させてくれ) その声の裏側にあったのは、グゾルがララに抱く、真の愛情。 「グゾルは…ララを愛してたんだ。許さない!!」 思うのはララの事。 思うのはグゾルの事。 願うのは、2人の事。 「く、くそっ。何でだ!同じ奴の手なのに…。なに負けそうなんだよぉ…!!」 アクマが写し取ったアレンの手はボロボロになっていた。 それはアレンのものと同じ形をして、同じ能力を持っているのに。 アクマがもどかしさに叫ぶ。 「あ…、まずい」 がアレンの様子を見て1歩前に出た。 表情の動きが止まる。 「ゴッ!?」 「!! まさか!」 アレンの口から血が溢れた。 その直後、造形を変えていたイノセンスが元の形へと姿を戻し、そのまま発動まで解けてしまう。 血が逆流するかのように口から零れ落ちる。 リバウンド。 それは成長した武器に体がついていけない状態になってしまうこと。 リバウンドを体感していたはすぐさま走り出した。 項目から「Espada−七星剣−」を選択すると鞘から刀を抜き出す。 「もらった!!」 アクマがアレンに腕を振り下ろそうとした次の瞬間、攻撃は神田との武器によって妨げられた。 はまさか神田まで加勢してくれるとは思っていなかったようで、心の中で不思議に思いながらも アクマを押し返すべく刀に力を込める。 七星剣は刃渡り71cmの短めの刀だ。 本来は攻撃を与える事に特化している為正直刀身で支えるには限界がある。 「!?神田、!」 「ちっ」 アレンが声を掛けると同時に、神田が舌打ちをした。 はちらりと神田の傷口を見る。 どうやら今ので傷が開いてしまったようだ。 じわりと、血が滲んできている。 「この根性無しが…こんな土壇場でヘバってんじゃねェよ!!あのふたりを守るとかほざいたのはテメェだろ!!!」 神田は器用にも片手でアクマを押し返しながらもアレンに怒鳴りつけた。 怒鳴られたアレンはびくっ、と硬直する。 「お前みたいな甘いやり方は大嫌いだが…口にしたことを守らない奴はもっと嫌いだ!」 「は…は。どっちにしろ…嫌いなんじゃないですか…」 「だい、じょうぶだよアレン…神田の、は、照れ隠し…」 「誰が!」 こんな状況でよく剣呑とできるものだ。 は2人の余裕っぷりに、自分の中で活動限界が来ていることを悟っていた。 目の前が霞みそうになる。 この2人より動いてもおらず、怪我だって軽い方なのに。 動いてくれないこの体がもどかしい。 「(あと少し‥あと少しだから‥‥持って、私の体‥‥)」 「別にヘバってなんかいませんよ。ちょっと休憩しただけです」 「…………いちいちムカつく奴だ」 アレンが口の周りについた血を拭う。 冗談めかして「休憩」などと口にするアレンに、神田はやはり文句で返した。 それを合図に、と神田がアクマの腕を弾き飛ばす。 はすぐさま武器を「Flecha−弓−」に変えるとキリキリと弦を絞った。 「(あと一回もってくれ)」 −イノセンス発動!!− 「「「消し飛べ!!!」」」 武器を構えたアレン、神田、がそれぞれアクマに攻撃を放った。 3人の攻撃に打ち抜かれたアクマは、言葉通りの凄まじい爆発に呑まれて消し飛ぶ。 その爆発は辺り一帯を包み込むと、大きな |
| 土翁と空夜のアリア |
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空高く舞い上がったイノセンスがゆっくりと落ちてきた。 唯一しゃがみ込んでいたが、空を見上げてイノセンスの落ちてくる様を目で追う。 の両隣には、アレンと神田が倒れていた。 ―― トサ イノセンスはアレンの側に落ちた。 は体を引き摺りながらアレンの側に寄る。 「アレン…」 「生きてて…ください。もう一度ララに…」 「……分かってるよ」 意識も朦朧としているアレンの手を一度握って、はイノセンスを手に取った。 傍らで砂に 「生きてララ…。もう一度歌って…」 動いてララ。 「もう一度、グゾルさんの為に……歌って…」 そして歌って。 「グゾルさんの望みを…叶えてあげて…」 いつしか歌った子守唄を。 「ララ…、ララ……まだ、やることがあるよ…?」 思い出して、あの人を。 思い出して、あの声を。 思い出して、あの人の名前を。 あなたが大切に思っている人のことを。 「歌って、ララ…」『歌って亡霊さん』 その声を届けてあげたい人がいるんだ ← † → 本当この話泣ける。 書きながら原作を見ていて何度涙が零れそうになったか…! そんな感じが文面から伝わると嬉しいです。 2008/11/11 |