ルフィは、自分の感情にとても素直で真っ直ぐ。
好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。
興味があるものにはとことん貪欲で、興味がないのならあっさりしている。

だから思う。
時折感じるその視線の意味は何だろうと。



!見てくれ!さっきウソップと釣ったんだぞ!」
「おお、凄いねチョッパー。綺麗なお魚さんだ」
「これ食えるのかな?」
「サンジに聞いてみようか!」
「おお!!」

とてとてとの側に走って来たチョッパーが、その手に乗せて持ってきたのは今し方釣ったという魚。
淡い紫色の鱗を持つそれは、深海魚のようだが普通の魚らしい。
薄紫色でありながらも日の光に反射した鱗は虹色の光沢を放っていて、とても綺麗だ。
食べられるのかと聞いたチョッパーに、流石のでも判断はできない。
専門家に聞くため立ち上がり、サンジの元へ走って行こうとするチョッパーに続こうとすると。


「?」

ふと、視線を感じて踏み出した足を止めた。
ぐるりと一巡すれば視界に収まってしまう甲板を見渡すと、そこにいたのは未だ釣りをしているウソップと本を読んでいるロビン。
あれ?気のせいかな?と首を捻ると、チョッパーが「ー?」と声を掛ける。
結局視線が誰のものだったのかは分からなかったが、はチョッパーの元へと行くことにした。








!ちょっと手伝って!」

甲板でウソップとフランキーの作る発明を見ていると、ナミが女部屋から声を発した。
見れば、扉を開けたまま手招きをしている。


「ん?何を?」
「服の入れ替えをしたいのよ。いらない服あなたにあげるわ」
「…ナミの服のサイズが合う訳ないじゃない…」
「いいから!あんたの服色気が足りないのよ!」
「べ、別に色気とかいらない…」

いいから来なさい!と言うので、渋々立ち上がったは部屋へ向かう。
その最中、再び感じる視線。
今度は誰?と振り返ると、一人だけこちらを見ている人間がいた。
大きな目はじっとこちらを見ていて、睨んでいる訳でも何でもないのに、とても強いものを感じる。
視線は重なっているので恐らくを見ている事は間違いない。
ただ、そんなに凝視されるようなものはなにもないのだが。
が首を傾げた直後。


「あんたは何ぼーっとしてんのよ、ホラ、さっさと入って」
「あ、あぁ、うん」

ナミに腕を引かれるまま中に入ると、その視線が外れた。








ちゃん、本日のデザート、シューアイスで御座います」
「うわーい!有難うっ!!」

ああそんなお礼なんていいんだよちゃん!
デレっとしたサンジはの満足そうな顔を見て「このまま溶けちまいそうだ!」なんて、更に蕩けそうになっていた。
そんなサンジの横からひょいと一つシューを取ったゾロは「そのまま溶けてなくなれよクソコック」と爆弾を投下して去っていく。
テメェ、オロス!!と肩を怒らせたサンジがゾロと悶着している間に、隣に座って来たのはルフィだ。
いつもなら真っ先におやつに手を伸ばすルフィなのに、今日は何故か目の前のシューよりもを見ている。
思わず口に運びかけたシューアイスを下ろして、はルフィを見た。


「な、なぁに、ルフィ…」
「おれ、最近変なんだ」
「ん…?」
「なんか、ばっかり見ちまう」
「へ…?」

幸いにも、今この場所にはルフィと以外誰もいない。
相変わらず少し離れた所ではゾロとサンジが何かを言い合っているが、その声さえも遠くなる気がした。


、」
「わ、わ、な、何……?」

ずい、と顔を近づけたルフィに、思わず背を仰け反らせる
ルフィはまるで動物的だ。
鼻を近づけ匂いを嗅いで、それが何であるのか確認するように。
きっとそれは無意識なのだろうが、にとってみれば異性が自分に近づいている訳で。
意識していなくても、意識せざるを得なくなってしまう。


「おれ、の事が好きだ!」
「………あ、有難う…」
「おう!!」

どういった風の吹きまわしなのか、突如告白された
こういう返事でいいのだろうかと、が相変わらず距離の近いままのルフィを見て考える。
ルフィの言う好きが、どの分類に入るのかは分からないが、「おう」という返事が返って来たという事はこれでいいのだろうか。
満足そうに頷くので、複雑な気分になる。


「これからも、もしかしたらお前のことばっかり見ちまうかもしれねぇ!」
「う、うん」
「でも、好きだから見ちまうんだな!」
「そ、そうなの?」
「おう!だっておれ、肉も同じくらい見ちまうんだ!」
「そっか…」

お肉と同類なのか、と、安心したようながっかりしたような。
あれ、がっかり?と自分の感想に自己突っ込みしていると、ルフィが「うめぇ」と声を上げた。
どうやらシューに手を付けたらしい。
も食えよ!と口に詰めこまれたそれを頑張って咀嚼する。
じーっとが食べる様子を見ていたルフィは、が飲み込んだのを確認すると「な!!」と笑った。
いつも通りのルフィに、も「そうだね」と返す。
結局、ルフィの好きの理由は分からずじまいだが。






 真夏の熱視線







(じーっ…)
(また見てる…?)

を追う視線は、日ごとに熱を増しているように思えた。





えー。こちらも初書きルフィ。
本当はトリップの異世界ヒロインのつもりだったのですが、名前変換を別にするのも、
そのように設定するも面倒だったのでいつものヒロインにしました。
いつかトリップヒロインでリベンジ!
本能的なルフィだから、眺めていたいものは見ていたい、好きなものだから眺めていたいのです。
@お題は自家制作。

2010/06/17