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「そう言えば長谷部。ここには誰が?」 どれ程この部屋に居たかは定かではないが、ずっとこの部屋に居る訳にもいくまい、と長谷部に向き直ると「そうですね」と口を開く。 「名を上げればきりがないので、直接お確かめになった方が早いかと」 「それもそうだね」 「今の時分、厨を預かる歌仙と燭台切はいるでしょうし、堀川国広も確か当番で手伝いをしていたはずです」 「そっか」 懐かしいという表現は少し違う気もするが、名の上がった面々に会えるのかと思うと胸が震えた。 皆の顔を思い浮かべながら部屋の外へ足を踏み出す。 実感は湧かないが本当に。 「本当に、来ちゃったんだなぁ…」 ふわりと髪を浮かせる風の匂いは、都会のものとは全然違った。 い草の匂いに交じって朝露の香り。 何処からともなく漂ってくる甘い香りは香のものだろうか。 そして目の前に広がるのはまさしく画面越しに見ていたあの庭だった。 良く手入れがされた立派な庭である。 「そう言えば主のお召し物は随分と変わっておられる」 「え?」 言われてハタと自分の服を見下ろす。 そう言えばここに来る直前、パジャマで眠っていたのではなかったか。 もしや今パジャマなんぞを着ていたらすこぶる恥ずかしい展開になるのでは。 そう思ったが、着ていた服はワンピ―スだった。 こんな服持っていたか?と思うような丈の長い白いいわゆるマキシワンピースだ。 普段自分でもなかなか着ないような服に、少し気恥ずかしい。 隣で自分の服装を見下ろす我が主を、長谷部は横目で上から下まで眺めていた。 死に装束に見えたなどとは口が裂けても言えないが、暗がりで見るのと陽光の下で見るのとでは全く違う印象を持った。 質の良さそうな潤沢とした白い布地はまさしく彼女に良く似合っている。 何処か儚く。何処か気高い。 飾りっ気のない様子が、一層、彼女を彼女らしく見せた。 彼女らしい、なんて、まだ言えるほど彼女を理解してはいなかったが。 自然とそう思える。 「さ、主。参りましょう」 「は、長谷部…」 「?」 一歩踏み出したところで振り返えった長谷部に「変じゃない?」と問う。 残念ながらここには鏡がないので、自分がどのような格好をしているのか想像がつかない。 長谷部はふと視線を巡らせて逡巡する。 確かにここの者たちからすれば反応は様々やもしれないが。 それでもその服は、先程も思ったが彼女にとても良く似合っていた。 長谷部は半身の身体をきちんと主へ向けると。 「とても良くお似合いですよ。主」 綻んだ表情に、安堵する自分がいる。 |
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【あとがき】 もうちょっとこの辺短いですがご容赦を。そしてそろそろ長谷部以外のキャラを出したいところですね。 あとすみません。ブログのほうでは謝罪しているのですが、視点の置き場所に困っています。 最初は感情引き込むためにヒロイン視点よりで進めたいと思いますが、途中入れ替わったり引きだったりするかもです。。 今後は作品の都合上引きの三人称で進め、短編や中編は視点を主観へ持っていくようにします。 [2017/7/29] |