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私は凄く興奮していた。 興奮せずにはいられなかった。 思わず座っていたベンチから立ち上がる。 普段は出ないような大声が喉から出た。 声援に呑まれていく。 ああ、これがバスケなのか。 凄いの言葉しか出てこない。 練習試合。まずはそのセッティングから始まった。 荒木監督に「私は用事が出来たから一人で相手校まで乗り込んで喧嘩売ってこい」と言われた時はどうしようかと思った。 なんなら私の愛刀・コテツも貸すぞ、とまで付け加えられたが丁重にお断りしておいた。 でも一人じゃどうにも勝手が分からないので、主将さんに一緒に来てもらえないかとお願いした。 …ところ、何故か感涙する勢いで喜んでくれた。 よっぽど相手校との試合が嬉しいのだろうか。 試合当日の日曜日。 私はタオルを用意して皆のドリンクボトルを預かりスポーツドリンクをありったけ作った。 念のためにと先生に貰った部費で、空っぽだった救急セットに湿布とアイシングと包帯を詰めておく。 「緊張してる?」 「かな、り」 「何でちんが緊張してんだし」 両隣を二人に挟まれて顔を覗き込まれた。 笑顔が引きつっていたせいだろうか、氷室先輩が苦笑して「リラックスリラックス」と声を掛けてくれる。 それを見ていた紫原くんが尤もな一言をお見舞いしてくれた。 確かにプレイをするのは私じゃなくて彼らだから、私が緊張なんておかしいことかもしれないけれど。 「(どうか怪我もなく無事に終わりますように)」 コートへ向かう彼らの背中に祈った。 それからはあっという間だった。 ジャンパーである岡村先輩がジャンプボールでボールをタップする。 その瞬間からコートは熱気で湧きあがった。 テレビで試合観戦はしたことがあるが、それとは全然違う。 息遣いさえこちらに聞こえそうなほど目まぐるしい試合展開。 言葉も出ない私の横で、荒木監督が「見直したか?あいつらのこと」と顔を覗き込んできた。 「見直すも何も、凄いです。練習の時からも思ってましたけど」 「…好きになれそうか?バスケ」 「もうなってます」 「そりゃ良かった」 ニッと笑みを向ける監督に、私もニヤけてだらしない笑みを返した。 それを見た監督が「ふやけてるぞ。試合に集中しろマネージャー」と背中を叩かれる。 第1Qが終わり2分間のインターバル。 その間に私はタオルと用意していたドリンクを選手たちに手渡す。 お疲れ様ですと声を掛けて渡すと、岡村先輩はやっぱり目を潤ませた。 「やっぱりマネージャーって…イイっ」 「わーったからさっさと次も決めるぞアゴリラ」 「浸透してきたアル」 「誰のせいじゃい!」 先輩方は相変わらず仲が良さそうだ。 汗はいくらか掻いてるものの、まだまだ余裕と言ったところだろう。 私はちらりと相手選手たちを見る。 うちの選手たちは背が大きい。つまりフィジカル的には勝っている。 またひとつひとつの動きが大きいから、相手選手たちは普段より大きく動かなければいけない。 疲れはうちよりも大きいだろう。 「ちん、」 「ん?」 ツンツンと腕を突かれて振り返る。 ベンチに座った紫原くんが頭に掛けたタオルの下からこちらを覗いていた。 「どうしたの?」 「これ美味しい」 「ドリンク?口に合うようなら良かった」 「自分たちでやってた時、薄めすぎてビミョーなのとかあったし」 何それ、と笑うのと、試合再開のホイッスルが鳴るのは同時で。 立ち上がった紫原くんが頭に掛けていたタオルを私の頭に乗せる。 「ぶわっ」と変な声が出て、慌ててタオルを退けると。 「んじゃ、行ってくるし」 少しニヒルに笑った紫原くんに心臓が鷲掴まれたようになる。 あれ、なにこれ。 「、座っておけ」 「あ、はい…」 試合の時とは違う心音の速さ。 何だろう、私、凄く。ドキドキしてる。 |
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【あとがき】 なんて言うか、急に意識してしまう瞬間ってあると思うのですよ。 今回はズバリも何も、最後の微笑みと言うか。 コート上だと普段の倍以上カッコ良く見えてしまうあれですね。 だんだんぽく、なってきましたかね(苦笑) [2013/11/6] |