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適当に見学して行け、と言われたので"適当に見学だけ"しようと体育館へ来ていた。 こっそり、誰にもばれないようにそっと体育館を覗くと、バスケットボールを力強く弾ませる音が響いて。 バスケ部の音は凄く独特な音。 体育館の床を蹴りつけて鳴るバッシュのスキール音と、独特のリズムで打ち付けられるバスケットボールの弾む音。 激しい音だな、とずっと思っていた。 まじまじとバスケを見たことはなかったが、音と同様、バスケは激しいスポーツだと、練習風景を見て改めて実感する。 そんな中やはり目が行くのは紫原くんだ。 顔見知りという事もあるし、何より彼はずば抜けた身長を持っている。 周りの人も多分、遠目で見て分かるくらいなので凄く大きい。 でもそれを卓越するくらい、彼の身長は目立った。 「すご、い」 普段はどちらかと言えばぼーっとしていたり、機敏とは程遠いマイペースな紫原くん。 その姿しか知らないので、今目にしている紫原くんが違う人物のように見える。 あの巨体であれだけの動きが出来るとは。 それにやはり体が大きいせいか、力が強いという事はプレイを見ていても分かった。 トップに対して幅があり、ウィングスパンが長いため多方面に手が伸びる。 私でも分かる。紫原くんの体格は、バスケをすることに恵まれている。 「バスケ部のマネージャー、かあ…」 体育館から離れて図書館に向かう。 委員の仕事ではない。 図書館でバスケットに関する参考資料を借りようと思ったからだ。 私が運動系の部活に所属するなど、いったい誰が予測できたことだろう。 運動とはほぼ無縁の生活をしてきたのだ。 例えそれがマネージャーと言うプレイをする側でない立場であったとしても。 多分、何かをお手伝いしたり、支えたりすることは嫌いじゃないと思う。 今までの委員会や係り、イベントごとでの手伝いをしていて、それは実感していた。 私の働きが誰かを支えることに繋がれば。 それはとても遣り甲斐のあることで。 「あ、あった」 普段は自らここのコーナーに足を踏み入れることはなかったが。 今は自分の意志でここに立ち、『バスケット入門』と書かれたタイトルを手にしている。 そんな自分を客観的に見て、くすりと笑みが漏れた。 変わろうとしている。変化が訪れていた。 --- 「と、いう訳で、どっかの誰かさんのたっての希望により、マネージャーを入れることにした。」 「えと、1年のです。一生懸命皆さんのサポートをさせていただきたいと思います」 よろしくお願いします、と頭を下げる。 昨日、荒木監督に言われた通り私は正式にマネージャーとしてバスケ部の部員に紹介をしてもらった。 どっかの誰かさん、と監督が強く目線をやったのは、そんな視線をものとも感じていない紫原くんで。 ちらりと紫原くんを見やる。 私のマネージャーは紫原くんの一言から始まって。 『やってよ、まねーじゃー』 『そんなん、わかんねーし』 ぽつりと呟くように言われた、マネージャーへのスカウトの言葉と。 どうして、と彼に聞いた時に返ってきた言葉。 多分私も、どうして受けようと思ったのか、と訊かれたら、分からないと答えるだろう。 だって私は、彼に興味を持ち始めてしまったのだから。 好奇心に似ていると思う。 ただ純粋に、私は彼の言葉の真相が知りたいと思ってしまった。 「(それにしても)」 下げた頭を元の位置に戻して、並んでいるバスケ部員たちを見やる。 「(お、っきい)」 恐らく目の前にしたら壁と見紛うほどの大きさだと思われる。 だってあの紫原くんと並んでも、然程の違いがあまりない。 紫原くんは突出して大きいが、その隣に並んでいる人たちも見劣りしない大きさだ。 「、取って食うようなやつらじゃないから安心しろ」 「!」 そんな顔をしていただろうか。 荒木監督が耳打ちをしてきた。 あまりの大きさに普通に驚いていたのは事実だが。 びっくりして監督を見ればフッと微笑まれて並んでいるバスケ部員の方を見やる。 「んじゃあまあ、いつも通りアップから。それと、私は明日の授業の準備の関係でしばらく抜ける。、後は頼むぞ」 「あ、はい」 頼むと言うのは恐らく指導をしろ、と言うことではないと察する。 私が初心者で何も知らないのを監督は知っているので、恐らく面倒を見ておいてくれという意味だろう。 頷いて返すと、監督は持っていた竹刀で床をひとつ叩いて体育館を後にした。 |
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【あとがき】 とりあえず正式にマネージャーとして決まりました。 多分私の今までの中では話の展開的には早い方かと思います。 私自身もバスケに関する知識やマネジメント方面の知識が乏しいので…うん。 まあ境遇的にはヒロインと同じってところでしょうか(苦笑) それにしても、陽泉って本当身長大きい人多すぎませんか。 首が痛くなりそう…。 [2013/11/5] |