耳元で風の擦れる音。
ビュウビュウと凄い轟音。
バイクに跨って飛ばしてる時の音によく似てる。
でも今はバイク乗ってないけどね。

俺の現在地、屋上。
今日は風が強いらしく頭上の雲がすげぇ速く流れてる。
いいな。俺も流されちゃいたい。なんてね。
屋上には誰もいない。だって今授業中だし。
俺はほら、自習ってやつ。そう、俺だけね。


授業中に屋上で



「眠ぃ…」

長く伸ばした髪が風のせいで顔に当たるけど、それが気にならないくらい眠い。
このまま寝ちゃおうかな。

「…?」

ふと、足音が聞こえた気がした。
風の吹きすさぶ音の方が強いけど、微かな小さな足音。
寝転がりながら横目で屋上の扉を見つめる。
もしかして、っていう期待も少し籠ってる

「うんっ、しょ…っうわぁ!」

………ピンク。
やべー。別に見るつもりはなかったけど。
いや、これは不可抗力。
俺としてはラッキーだったけど。

扉を開けて屋上に出て来たのは俺の幼馴染。
彼女ともいう。
妖精の鍵が引きあわせてくれた大切な子。
そんな彼女のスカートをいたずら風がふわりとめくり上げて、それに悲鳴を上げる。
神風っていうんだっけ?グッジョブ神様。
彼女は恥ずかしそうにスカートの裾を押えながらそっと扉を閉めてこちらを見た。
予想的中。俺を探しに来たみたいだ。

「琉夏ちゃん…?寝てるの?」

遠慮がちにそっと甘く俺の名前を呼んでくれる。
その声すごく好き。このままずっとお前に名前呼んでもらいたいくらい。

「今日風強いねー…あったかいけど」

そのおかげで俺はちょっといい思いしたけどね。
それはナイショにしておこうか。

「琥一くんが琉夏ちゃんここにいる事教えてくれたんだ」

確かコウもサボりで授業抜けてたはず。
まだ校舎内にいたんだ。
てっきりバイクで何処かに行ったと思ってた。

「琉夏ちゃんちゃんと授業出ないとダメだよ?あ、私は自習だから抜けてきただけだけど…」

うん、ごめんなさい。だけど授業、すっごく退屈なんだ。
お前と同じクラスなら良かったのに。あ、でも先生でもいいな。
そしたら俺、張り切って授業出ちゃうのにな。

「琉夏ちゃんの髪、キラキラして凄く綺麗」

俺の髪に細い指が差し込まれて撫でられる。
やべぇ凄く気持ちいい。
これで膝枕もあったら最高なんだけどな。今度お願いしてみよ。

「琉夏ちゃん…すき、だよ」
「!」
「へっ、わぁっ!?」
「お前、それ反則」
「えっ、えっ、琉夏ちゃん…!?」

好き、という言葉に反応するように目を開けて、
俺は思わず彼女の腕を掴んで仰向けになってる自分の上へと引き込んだ。

お前、びっくりし過ぎ。
恥ずかしいのと驚きが両方来たみたいな顔をしておどおどしてる。
可愛い。すげぇ可愛い。
何が起こったのか理解できていないお前の頬にそっと手を滑らせると、ようやく焦点の定まった目が俺をみてくれた。
赤くなってる。ねぇ、それって俺のせい?そうだったら嬉しい。

「る、かちゃ…いつから、」
「んー、いつだったかな。忘れちゃった」
「ま、またそうやってごまかす…」

もーって唇を尖らせるお前、可愛い。
そんなことすると、チューしちゃうよ?
そう言ったら「ばかっ」て言われちゃった。

「俺達イケナイ子だね」
「え?」
「だってホラ、今授業中だよ?それなのにこんな所で授業サボってる」
「そ、それは琉夏ちゃんだけでしょ!」
「でもお前だって自習しないでここに来たんだ。共犯だろ?」
「それは…っ」
「ね」

ますます赤くなっていくその頬に宛がった手を引き寄せる。

「もっとイケナイこと、しちゃおうか」


【あとがき】
ときメモで盛り上がってた時に書いたもの。GS2弾目。
いまさらですがゲームにあったような彼視点で書いてます。独白ともいう。
私のサイトではなかなか珍しい感じの書き方、かな?
琉夏の話は号泣した。

[2012/4/13]